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02. そこに跪いて忠誠を誓え
死ぬか、生きるか。命の境界線上でのみ、少しだけ目が覚める。
毛足の長い絨毯に足音を吸い取らせ、アスランは硝子窓にキラの背後から手をついた。
「何を見ていた?」
ガラスのひやりとする温度を手指に感じ、アスランはこれも触れれば冷たいのだろうかと考えていた。
これ———二つの紫水晶がゆっくりと振り返りアスランを捉える。
均整のとれた痩身に繊細な顔つき。随所に金糸の刺繍が施された白の騎士服は、そんなキラの容貌によく似合った。
騎士。アスランがキラに与えた身分だ。アスランは度々キラを伴って内乱の鎮圧に向かい、キラは自分がいた村と似たような境遇の人々を相手に、忠実に命令をこなした。
すなわち、剣を振るい、血を流す。
アスランが隣で血飛沫に獰猛な笑みを浮かべていることに気付いても、なお。
「…空を、見ていました」
「空?」
アスランはキラの答えに目を向ける。しかし同時にその窓の外に街の灯を認め、一瞬でアスランの声が氷のように冷たいものになった。
「鳥のように背に翼を生やして逃げ出したいと思っていたのか?」
「いえ———」
キラの否定は切り裂くような命令によって遮られる。
「誓え。私に、何を捧げるのか」
夕から夜へ変わりゆく藍空に何を想起したのか知らない主の、翡翠の双眸を見つめてキラは慈しむような微笑でもって答える。
この深く澄んだ綺麗なものは、触れたら硬く滑らかなのではないだろうか、と考えながら。
「この先、貴方が望むなら何度でも、私は誓いましょう」
キラが跪く。深く頭を下げ、淀みのない声で宣誓する。
「全てを。私というものが存在する限り、私の全てを貴方へ捧げます」
この言葉が、内に込められた心が、孤独な王にどうか届きますように。
性格が全く違うことは気にしない…!
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